権藤大助君インタビュー

きっかけは「写ルンです」

アートに興味を持ったきっかけを教えてください。
写真に興味を持ったっていうのは、えっと、小学校の頃親に買ってもらった「写ルンです」だったんですよ。
で、「写ルンです」を使って親と一緒に旅行に行った時とかに、自分なりに写真を撮ったりしてて、その写真を後で見た親が「写真うまいなぁ」って言って褒めてくれたんですよね。
そこで写真をそれなりに撮れるってことが分かると親が、すごい昔の古~いヤツなんですけど、ちっちゃいデジカメをひとつくれて、それをもう小学校から中学一年生ぐらいまでずっと使ってて。
で、まぁ最終的にもう潰れて使えなくなっちゃったんですけど、3年間使ってて。それが、多分キッカケですね。

今回、なぜ始めての写真展(2013年8月1日〜18日にLoop Aにて開催)に参加しようと思ったのでしょうか?
んーと…自分の写真ってこれまで、結構内輪というか自分の知ってる人とか、そういう人にだけ見せて評価されてきたりとかで、わりと満足してたんですけど…やっぱりその写真ていうのは、大勢の人に見られて初めて価値が出るものやなと、思えるようになってきたんで。
ほんともう、コンクールに出したりとか…やってこなかったんですけど、最近ようやくやり始めようと思ってて。
でまぁそれがきっかけで、写真展のお話とかきたんで「あ!ぜひ、よろしくお願いします!」っていう感じで(笑)、自分の考えてたタイミングと合ったって感じです。

廃墟にすら勝ってしまう自然の存在感に感動。

なぜ写真で表現する方法を選んだのですか?
絵って僕はわりと長くやってたんですけど、ちっちゃい頃から(通っていた幼稚園に美術部があり、小学校のクラブでも2年間美術部に在籍)。わりとすぐに限界が見えたんですよね(笑)
絵も写真もどっちもすごい好きだったんですけど、やっぱり根本的なところがスゴイ違うモノでもあるんで。

どこで一番違いを感じましたか?
絵と写真の違いは…その、アレですねぇ…絵はどっちかって言うと、なんか、プラスしていくんですよ、この枠の中に。
枠の中からマイナスしていくのが、写真なんですよね。できるだけ、その…写真で撮るものの中に写るものって、あるものは消せないんで、絵やったら増やしたり減らしたりできるじゃないですか。写真はそれができないんですけど、ん~…なんでしょうね、そこをこう自分で考えて撮るのに、すごい楽しいなっていうのを感じますねぇ。

写真を撮っている時に何かを思ったり感じること、意識することはありますか?
撮る瞬間っていうのはその自然に、圧倒された迫力の感動みたいなのをこう、なんでしょうね、押されながら撮ってる感じなんですけど…その自然を撮る時の憧れとしては、ナショナルジオグラフィックっていう雑誌があって、あそこの雑誌に載ってるような写真って、ほんとにすごいネイチャーものばっかりなんですけど、ああいうのがいつか撮りたいなって。
街並みの自然な風景も撮りますけど、町中で写真を撮る時はすごい気を使いますね。しんどいです(笑)
僕、引きこもりから立ち直った時(17歳)に、初めて自分の意思で写真撮りに行ったのが、廃墟だったんですよ。で、その廃墟っていうのが、元々山の中に建ってたホテルなんですけど、完全に自然に負けてるんですよね(笑)
それを見た時に、すっごい(自然の力に)感動して。

「自分の取った写真ってこんなに喜んでもらえるんや」という喜び。

廃墟に行こうと思ったのはなぜですか?
インターネットで出会った人に…その人は東京に住んでたんですけど、その人がすごい廃墟が好きで、たまたまその有名な廃墟があって、そこの廃墟の撮影に行きたいねんけど、東京から行かれへんから大阪に住んでる僕が「行ってきてくれへん?」って頼まれて。
それから(東京の人に)撮った写真を見せてあげたら、すっごい喜んでくれて。で、その時が多分、自分の撮った写真って「あ、人に見せてこんなに喜んでもらえるんや、喜んでもらえたら、こんなに嬉しいんや」っていうのを小学校の頃ぶりに気付いたんですよ。引きこもっている間カメラは一切触ってなくて、カメラの存在を忘れてましたからね(笑)

好きな作家やアーティストさん、影響を受けた人やモノってありますか?
大山行男(おおやまゆきお)さんっていう写真家がいて、この人、富士山の写真をずーっと撮ってる人で、富士山と樹海を撮ってて、ネイチャーフォトグラファーっていって、自然をメインにした写真家なんです。その人の写真集を小学校の低学年の頃に富士山に旅行に行った時に親に買ってもらって。
で、そん時に『この人の撮る写真、めっちゃスゴイ!』と思って、こんな写真撮りたいなぁって思いましたね。

今回写真展にも参加されていますが、テーマが「自分の物語」ということで、自分を見せるというところで、写真でどういったことを伝えたいですか?
イメージとして出来上がってきたのは、ずーっと引きこもってた家の中からやっと外に一歩出て、この一年間で見た“世界”っていうのを多く出していけたらって思いますね。
マイストーリーっていうテーマなんで、最初は自分の日常生活とかの写真を撮るべきかなって思ったんですけど、よく考えたらそれって今だけの部分なんで、そこ(外に一歩出れたこと)に至るキッカケっていうのをもっともっと撮っていきたいなって。難しかったですげどね。最初(テーマを)聞いた時『ギョ!」っとしましたもん(笑)

写真だけでなく、映像にもチャレンジしたい。

これからも写真での創作活動は続けていきますか?
仕事にするかは別として写真は多分一生続けていくんやろなぁっていうのは間違いないですね。ただ最近思ったのは、自分はこうやってきっかけを与えてくれた人だとか、それをサポートしてくれた人だとか今回の写真展もそうなんですけど、何かきっかけを与えてもらって初めて写真というものを手にして外へもう一度出ることができたんで、昔の僕みたいに困ってる人がいたら、何かを与えてあげられるような作品を作っていけるようになりたいなって思いますね。

写真以外の方法でチャレンジしたいことはありますか?
わりと最近、おもしろいなと思ったのは映像の方に興味があって。まぁ映像はめちゃくちゃ難しいんで、今の僕にとって(笑)
ちょっと「できたらいいな」って興味があります。

権藤大助

1994年7月20日生まれ
近畿大学付属福岡高等学校通信制過程 3年生
愛用のカメラ:ニコン D800
趣味:読書、バイク旅